川崎の温泉は、川崎区内及び幸区の一部が食塩泉で、その他は殆どが重曹泉である。川崎市内では、深度によって泉質がやや異なり、川崎区や幸区では深度に拘らず一般に塩化ナトリウムを多く含有する傾向がある。この傾向は海岸に近づくほど強くなり、同時に色も茶褐色から淡黄色微濁となる傾向がある。現在における温泉の分布から、国道15号(第一京浜)より海側は淡黄色を呈し、その他の温泉は茶褐色を呈している。これに対して、幸区から中原区にかけては、掘削深度が深いものは塩分が比較的多く、浅くなるに従って、重炭酸ナトリウムの割合が多くなる傾向があり、塩化ナトリウムと重炭酸ナトリウムをともに含有するものの、掘削深度によりその割合は異なるため、泉質は含重曹食塩泉若しくは含食塩重曹泉が主であり、アルカリ性で茶褐色を呈する。また、中原区から高津区にかけては、掘削深度の深いものはアルカリ性で茶褐色を帯びて重炭酸ナトリウムが主であるのに対し、浅いものは中性で溶存成分は少ないものの、特に重炭酸鉄に富み、湧出時では無色透明であるが、空気に触れると含有する鉄分が酸化して茶錆色を呈する傾向がある。これら以外には、普通の地下水が温泉法によるメタ珪酸の規定含有量を超えて温泉に認められたものも見受けられる。
近年、幸区塚越と高津区野川でも温泉の開発が進み、川崎市においても大深度掘削が波及しつつある。
街の温泉めぐりより引用
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